クリスマスソングは数多あれど、やっぱりわたしは宇多田ヒカルが好きだなと思う。
この歌は特別なイベント(クリスマス)よりもなんでもない日常を大切な人と重ねたい、みたいな曲だから、厳密に言うとど真ん中クリスマスソングではないかもしれないけど。それでもやっぱりこの時期になると聴きたくなってしまう。
今週末はクリスマス。
街中が少し浮き足だってキラキラと華やぐこの季節が、わたしはとても好きだ。
クリスマスが近づく度に、思い出すことがある。
まだわたしが小学生の頃。
我が家のクリスマスは母がケーキを焼き、父がダッチオーブンでチキンの丸焼きを作るのが定番だった。
普段から母の料理は美味しくて自慢だったが、イベントごとになると更にスペシャルなメニューが食卓に並び、家族で美味しいねと笑い合う。
今思い返しても完璧な"幸せなクリスマスの光景"だったと思う。
ただ一つ。
サンタクロースが来ないことを除いては。
我が家では幼少期から両親に『サンタクロースはいない』と教えられてきた。
クリスマスプレゼントの習慣はあったが、あくまでも"父が働いたお金で買う、父からのプレゼント"というテイだった。
トイザらスに家族で赴き、各々欲しい物を買って貰う。それが我が家のクリスマススタンダードだ。
余談だが、わたしはある年のクリスマスに花子さんの怪談カルタ(読み上げCD付)をチョイスする様な、謎な感性の小学生だった。
それでもクラスメイトの家には皆一様にサンタクロースが訪問していて、寝て起きたらこんなプレゼントがあった、だとか、用意していたクッキーが食べられていた、だとか。
そんな話を聞くものだから、わたしは純粋にサンタクロースという存在を信じていた。
『サンタさんはいるけど、なぜかうちには来ない。』
そう信じていたある年のクリスマス。
どうにか自宅にサンタクロースを呼び込もうと、当時の愛読書であるりぼんについていた【サンタさんへのお手紙セット】なるレターセットに、今欲しいものと彼への熱い思いをしたためた。
手紙に書いたのは確かマーマレードボーイのロボット型ボイスメモだったと思う。(違うかも。さすがに忘れちゃった。)
それから、来てくれてありがとう、いい子にするから、どうか来年からも来てほしい。なんてことを書いた記憶がある。
一生懸命書いた手紙を枕元に置いて眠りにつく。明日起きたらきっと、この手紙は無くなり、代わりにプレゼントがあるのだろう。
わくわくしながら目覚めたクリスマス当日。
枕元には、昨晩わたしが置いたままの状態から少しも変わらないレターセットが置かれていた。
当たり前と言えば当たり前なのだが、その時に『ああサンタクロースは本当にいないんだな』と悟った。
あの冬、わたしはクラスメイトより少しだけ早く、オトナへの階段を登ったのだ。
年を重ねた今、多くの友人が親になり、サンタ業を担っている。
他人事ながら、できるだけ長い間子どもたちがサンタクロースを信じられます様に、と願わずにはいられない。
今週末も、世界中の人が可能な限りハッピーなクリスマスを過ごせますように。
そんなことを考える、一日遅れのブログ更新。