HIKARU UTADA SCIENCE FICTION TOUR 2024。
2ヶ月に渡る全国ツアーが、先日無事終幕した。
ブログをアップするタイミングを逃し続けて来たが、オーラスを迎えた今がチャンスとばかりに下書きを編集している。
わたしが参戦したのは、遡ること一ヵ月前。
8月4日(日)に行われた、国立代々木競技場第一体育館での公演である。
当選を知ってから当日までの間、純粋な楽しみなだけではない感情を抱えていた。
始まれば終わる怖さもあったし、初めて彼女を目にする緊張もあった。それはつまり、自分勝手に神格化した彼女を、生身の人間だと認識することへの傲慢な恐怖でもあった。
刺すような日差しが、外出する機会がうんと減った体に堪える夏の日。
当日を迎えてもなお消えないごちゃ混ぜな感情を抱いたまま、座席に着く。
照明が消える。
会場全体が、はっと息を飲む。
最初の一音で、今から歌うのが何なのか分かる。
予想外の選曲に驚いたが、これは今の彼女から25年前のわたしたちへのメッセージなんだと感じてから、気づいたら涙が止まらなくなった。横を見たら友人も見たことない顔で泣いていた。
もちろん濃淡はあるけれど、彼女の楽曲全てに思い出と思い入れがある。
今回のセットリストだってそうだ。
高校時代に少しの秘密を隠してメールアドレスにしていたあの曲も、
井の頭公園でバカみたいに泣きながら聞いたあの歌も。
歌声と共に、思い出が当時の空気感や感情まで連れてきた。
その思い出の登場人物の中には、もう連絡先も知らないような人も沢山いる。
泣いたり笑ったり、傷ついたり傷つけたり。
人に誇れるような人生では決してないけど、それでも自分なりに歩いてきた25年間。
ライブが進むごとに、その25年間を丸ごと全部赦されたような、不思議な感覚になった。
そうしたらMCで『この25年みんなそれぞれ色んな事があったと思うけど、その色々がみんなをここに連れてきてくれた。今、ここにいてくれてありがとう。』みたいなことを言ってくれて。
自分の感覚と彼女の思いが重なって、なんだかまた泣けてきた。
そこからも一曲終わるごとにありがとうを繰り返す彼女。
こちらこそだよ、って思うけど。
"今いること"が当たり前じゃないって知る彼女が繰り返すありがとうからは、どんな言葉よりも愛と温度を感じた。
デビュー25周年を祝うツアー。
それは同時に、彼女の音楽とともに25年を生きてきたわたしたちファンへのお祝いでもあったのだ。
あっと言う間の2時間半が終わって涙でべしゃべしゃになった顔で外に出たら、夏の空はまだまだ明るくて、夕方の風が心地よかった。
わたしは器用なタイプではないので、これから先もきっと色んな事に悩んだり躓いたりしながら生きていくと思う。
だけど彼女の曲とこの日のライブをお守りにして歩いて行く人生は、きっと悪いものにはならないはずだ。
『愛は光、愛は僕らの真髄。』
だから、光がわたしたちの真髄であることはきっと必然。
25周年本当におめでとうございます。
また必ず会えますように。