"呼ばれる"ってもしかしてこういうこと?と思った体験。
遡ること数日前。
友人と遊んでいる時にたまたまたどり着いた鳩森神社。
のんびりした春の昼下がりに、能楽堂でお琴とハーモニカがセッションをしていたり、ぽつぽつと置かれた椅子に腰掛けて、お昼を食べている人がいたり。
穏やかでなんていい気の場所なんだろう、と一瞬でその神社のことが好きになった。
将棋会館の近くということで、将棋にちなんだ絵馬やお守りが沢山あって『湯玉のおじいちゃんも将棋が好きだったな』なんて思いながら、わたしもひとつ、ギラギラに輝く将棋守を購入。
帰宅してからもなんとなくその神社のことがアタマの中にあって、『そういえば、能って観たことないな』と調べたら、4/3(月)〜4/5(水)の3日間、夜桜能という催しが靖国神社で開催されるとの情報が。
日替わりで演目も変わるみたいだし、行くならいつがいいかなあ、とあらすじと出演者をチェックしていたら、唯一野村萬斎さんがお父さま(万作さん)と共演するのが2日目のようで、内容も面白そうだしこの日にしよう!とチケットを購入したのが、月曜日の話。
18:30に仕事が終わって、開演が19:00。
ギリギリ(アウトめ)なスケジュールなので、職場から会場である靖国神社までの最短ルートをイメージしながら出勤して、夕方はきっかり18:30にタイムカードを切る。
そこからイメトレ通りのルートを早歩きで駆け抜けて、19:03には奇跡の着席。
火入れの儀こそ観れなかったけど、その後の舞と狂言と能はばっちり鑑賞できた。
風が吹く度に終わり際の桜がはらはら舞って、散った花びらは足元に絨毯みたいに広がって、見上げたらでっかい月が浮かんでて。なんだか現実じゃないみたいな不思議な感覚。
舞台自体もイヤホンガイドのおかげで内容もちゃんと分かったし、ぶれない体感とか、よく通る声とか、生演奏とか、素人なりに楽しみながら鑑賞できた。
本当に凄くすごくいい夜で、興奮のあまり家族LINEに報告をしたら、『昨日はおじいちゃんの命日だよ、なんだか供養みたいだね』との返事が。
思い返してみると、今回のきっかけになった神社でおじいちゃんのことを思い出して、そこからとんとん拍子にチケットを取って観劇して。
自分の行動力、と言ってしまえばそれまでなんだけど。なんとなくおじいちゃんが導いてくれた縁だったのかな、と、すとんと腑に落ちた。
そうそう。おじいちゃんのお葬式の日も、舞う桜が綺麗だったんだよなあ。
命日を忘れててごめんねの気持ちと、ありがとう。凄くいい経験ができたよ、の気持ちで、一日遅れの合掌をした。
なんとなく心があったかい、そんな4月の始まりの話。